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コラム

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インタビュー

ブランディングストーリー|古郡建設vol.2

古郡建設株式会社|埼玉県深谷市

デザインマネジメント部部長  渡辺 文昭

内容:採用・コーポレートブランディング

期間:2017年8月〜

ブランドリーダーに任命された時の正直な感想を教えてください

渡辺

「俺かよ!?」ですね(笑)。ファーストシーズンのブランディングチームには社長がいて、営業部長がいて、先輩がいたので当然そうゆう経営的立場の人がやるものだと思っていたので、びっくりしました。ただ、部長も先輩も「なべちゃん(渡辺氏のこと)でいいよ」と事前になっていたらしいので、受けざる負えなかった、というのが正直な感想です。

加藤

社長からは何故渡辺さんだったのか、理由は聞かされていますか?

渡辺

いや、未だに教えてもらってないです(笑)。

加藤

本当に!?それはマズイですね(笑)。ブランディングを御社に取り入れる前に、私と古郡社長で東京駅のスターバックスで話し込んだことがあったんです。その時に社長にお伝えしたのは「ブランドリーダーは年齢や役職、性別は関係ない。でもブランディングは会社をこの先も残していくためのものだから、会社の未来を担う若者目線が分かる人がいいですね。あと『センスがある人』で。」と。ブランドリーダー自身がデザインできる必要はありませんが、会社のクリエイティブディレクターとしてイメージアップを図る必要がありますからね。やはりそこでダサくなってしまうともったいないから。

渡辺

え〜俺センスいいかな…。自分ではわからないですけど(照)。

加藤

いや、はじめて渡辺さんにお会いした時に「あ〜この人おしゃれだな」というのが第一印象です!小物使いとサイズの選び方が上手だなって。だからセンスに関しては自信持ってください(笑)。

ファーストシーズンを振り返ってみてどうですか?

渡辺

とにかくスピード重視で物事を決めていましたね。慌ただしく過ぎて忙しかったけれど、だからこそ余計なことを考えずに決められたと思います。会社の見せ方を変えていこうとなってスタートしたわけですけど、ロゴやコーポレートカラー、作業着など半年でとにかく色々なものを変えました。社長とも話して同じ意見だったのが、このスピード感がよかったね、と。

△ファーストシーズンのミーティング風景

加藤

確かにアウトプットが早かったですね。秋にブランディングをスタートして、その年の忘年会でまず新スローガンやコーポレートカラーがオレンジになる事をサプライズで発表してもらいましたね。周知にはタイミングが大事なので、皆が集まるタイミングを逃さずスタッフに意図を伝えられたのはよかったですね。

渡辺

はい。中途半端にやらずにイメージを一気に変えた事で、ブランディングを社内に意識させられたからよかったです。やはり形にするって大事だな、と実感しました。

ファーストシーズンで「これはしんどかった!」ということはありましたか?

渡辺

当時は現場の所長をやりながらブランドリーダーもやっていて、両立させるのは正直辛かったですね。あと、物事を決めるにあたり、社長の顔色を見ながらお伺いを立てたりしていたのが気を使いました。それでこっちもフラストレーションが溜まって、ある時社長と大ゲンカになりましたね(笑)。

加藤

あ〜、チャットグループで炎上していましたよね(笑)。確か作業着を変えるあたりが激化していたような…。

渡辺

そうですね。やはり現場の立場からすると作業着のモデルチェンジは譲れなくて、カッコよくて機能性もってところで社長と意見が合わないところがあって。せっかく決めたのに夜中にチャットで覆されたりするから、イラっときました(笑)。ただその時に社長から「言いたいことは遠慮なく言え」と言ってもらったので、今は遠慮なくガンガンって感じで(笑)。そこは社長の器の大きさに感謝です。

加藤

でも私は、言い合える仲だから社長とリーダーはいい関係性だな、って思っていましたよ。ぶつかり合えるって情熱がないとできない事だから。当人たちはそれどころじゃなかったかもしれないけど、古郡建設はきっといい方向に転がるな、とその時確信しました。

他には辛かったことはありましたか?

渡辺

最初の頃は宿題の集まりが悪くて大変でした。それぞれが時間を割いて宿題をして、リーダーとしてさらにそれを取りまとめて、ってするので締め切りを守らないメンバーがいると大変でした。あとは、みんなで考えをまとめる系の宿題では、なかなか思うようにこれ!というところに着地できなくて、それでもなんとかまとめたのに、またこれも社長に覆されたりで…。

加藤

最初のワークって特に、「何のように働きたい?」「どんなスタッフでありたい?」など漠然とした問いを具体的に詰めていくやつなので手探りですよね。確かに難易度高いワークだから皆さん最初は苦戦されています。あとでスキッと腑に落ちるんですけどね。どうやって宿題の提出率問題は乗り越えました?

渡辺

直接当人に宿題出して、って言いました。あとはグループチャットでみんなが見える状態で出してない人宛に、まだ出てないから出してって投稿して吊るし上げしたこともありましたね(笑)。しかもそれを深夜に投稿するんです(笑)。「俺はこんな時間までこれに対して考えているんだ。」っていう熱量が伝わればいいな、と思って。

加藤

その後の宿題の出はどうしたか?

渡辺

すぐ提出になりましたね。

加藤

おお。リーダーの思いが伝わりましたね。そうやって少しずつメンバーの気持ちを整えていくことって大事だし、リーダーの役割でもありますね。

セカンドシーズンでもリーダーを継続していますがどうですか?

加藤

セカンドシーズンに入る時に、古郡社長とメンバーの話をしました。色々な人にブランディングに触れて欲しいのでメンバーは変えましょうと提案しました。全入れ替えか半分入れ替えあるか。あと、新リーダーと新サブリーダーは誰にするか、など。で、社長からはリーダーとサブリーダーは残して、あとは入れ替えたいです、と報告を受けたんですけど、リーダー継続と聞いて正直どうでしたか?

渡辺

「え〜…まだやんの〜…」って思いましたね。ロゴとか作業着とか慌ただしく変えたことがようやく見慣れて社内も落ち着き始めて、自分の現場も終わってひと段落したところだったので。「またあれやんのかよ…」というのが正直な感想です。

加藤

はは(笑)。社長はリーダーには全幅の信頼をおいていましたね。だからもう一年はぜひ続けて、ブランディングを社内に浸透させて欲しいと。その時にサブリーダーの大沢さんもって。ツートップを固めて、若い人たちを入れるってことだったようですね。ちなみに新メンバーの選定は?誰が決めましたか?

渡辺

社長と、ファーストシーズンのメンバーとですね。ブランディングミーティングの時に話し合って決めました。

セカンドシーズンに突入するときに、意識したことはありますか?

△セカンドシーズンのミーティング風景 半分以上が新メンバーに

渡辺

若い子を中心にしたチームにしたいな、と思ってチーム再編しました。一番上でも30半ば。若い人たちが意見をどんどん出す場になればと思って。でも、ブランディングに関しては何も分からないので、セカンドシーズンの最初のミーティングはみんな静かでしたね。新メンバーは状況把握するのにいっぱいだったと思います。

加藤

確かに。発言するのはリーダーをはじめとしたファーストシーズンのメンバー、社長、私でしたね。

渡辺

チームの空気が変わった転機は、展示会に視察に行き、感想をレポートするってゆうワークでしたね。

加藤

ありましたね。セカンドシーズンは外に出て色々な情報に触れると同時に、会社の代表として積極的に自社PRをして力試しするシーズンと定義したので。私のブランディング仲間も出展しているから、私の代わりにそこのブースにも顔を出してきて、と私からもミッションを出しましたね。

渡辺

あの辺りからですね。メンバーの意識が変わったのが。加藤さんとの月一ミーティングの当日に行ってきて、帰りの電車の中で資料をまとめてミーティングの中で報告してもらいました。

加藤

確かにあれは良い機会でしたね。あの回のミーティングの空気は軽かった。報告も分かりやすかったし、何より彼らが「自主的に動いた」という自信がついたのだと思います。可愛い子には旅をさせろ、とはよく言いますが、外に出すことは成長には欠かせないですね。あと、その時の報告を見て思ったのが、プレゼン力の成長です。ファーストシーズンで採用プレゼン指導をしたメンバーがブランディングチームにもいたので、写真の撮り方、言葉は短く、など注意事項を意識したスライドに自然となっていたのが嬉しかったです。ソフトを使いこなし、人前で話すことに物怖じしないのは若いメンバーならでは。伝える力が着実に会社に備わってきていると感じました。

加藤

さて、セカンドシーズンも終盤ですが、変化は感じていますか?

渡辺

ロゴや作業着を変えたので、会社を変えていくぞ!という姿勢はある程度社内に認知されたと思います。チームのことを言うと、本音を言えば新メンバーには旧メンバーに気を使わずにもっと意見を出して欲しいです。あの子たちが会社を変えていくと思うし、俺らが変えてやるんだ!という勢いが欲しいですね。

専属部門のデザインマネジメント部はどうですか?

△新入社員をメンバーに加えた3名で新設されたデザインマネジメント部

加藤

ブランディングを始めるなら是非専属部門を、というのは経営者さんたちにはオススメしています。ただ、実際はブランディングに携わる人は兼任で、単独部署を作るに至る会社さんはまだまだ少ないです。組織の問題や、仕事量、あとは社内のブランディングに対する理解度も大きく関係しています。そんな中、社長とリーダーから「デザインマネジメント部を作ります」って聞いた時は本当に嬉しかったです!部署立ち上げの経緯を教えてもらえますか?

渡辺

私が「二足の草鞋はきついです」と社長に言ったのがきかっけですね。今後もブランディングを本気で進めていくならば、兼任だと本業務である現場が優先になり、ブランディングでやりたいことは後回しになっちゃう。それでは中途半端なものにしかならないと社長に言いました。じゃあどうする?となって、例えば私なりサブリーダーの大沢なり、以前からブランディングに携わっている旧メンバーが長になり部署にするのがいいんじゃないですか?と答えました。ブランディングと採用はリンクしていたのでその担当者だった関矢、新入社員でデザイナーに育てようと思っていた福島。この三人体制だと理想的じゃないか、と。あと社長直轄部署にしないといけないということも併せて言いましたね。

加藤

メンバー案もリーダーから社長に提案したんですね。

渡辺

はい。そして翌朝、社長に呼び出されて「昨日の話だけどさ…なべちゃん。やる?」って言われて、はえーよ!と(笑)。

加藤

さすがのスピード感(笑)!古郡社長の良さじゃないですか(笑)。社長はミーティングに毎回参加してくれていますよね。社長がそこいることは、その場でやる・やらないのジャッジが下せるのが最大のメリット。中小企業からスピードを取ると何も残らないと私は思っていて、ロゴ変えよう、作業着変えようがサクサク進んだのはそこに社長がいて「いいよ」と言ってくれたから。だから半年でガラッと変えられた。その速さが古郡建設さんの良さですよね。

渡辺

まぁ、私は急展開でびっくりしましたけどね(笑)。

デザインマネジメント部の社内外の評判はどうですか?

渡辺

部署ができてすぐに公共工事で請け負った橋の現場見学会がありました。地域の子供たちとペンキ塗りをする企画をしたのですが、その企画・運営をプロデュースしました。新聞取材も来たりして、それを見た他の現場の方から「うちの現場でも見学会あるからデザインマネジメント部で手伝ってよ」というお声がかかり始めました。他にも倉庫の完成現場で、デザインマネジメント部の練習がてら施工写真とっていいよ、と声をかけてもらって一眼レフとドローンで撮影しました。社内のためにやっていることの延長で外貨を稼げるかも、と手応えになっています。

加藤

社内から情報が集まってきているのは良い傾向ですね。部署が認知されている証拠です。

渡辺

他にも安全担当から看板、現場からはイメージアップの仮囲いデザインを作って欲しい、という依頼もきていますね。総務からは年賀状や挨拶状、新聞広告の紙面デザインなんかもきています。

ブランディングチームとデザインマネジメント部の違いは?

加藤

渡辺さんは現在デザインマネジメント部の部長であり、ブランディングチームのリーダーでもあるわけですが、ブランディングチームは今後どうしますか?

渡辺

残します。

加藤

どちらもブランディングに関することなので、チームと部署の違いが説明しにくい思うのですが、そこはどう考えていますか?

渡辺

ブランディングチームは自由に意見を出すところ。デザインマネジメント部はその意見を実行していくところ。ファーストシーズンで二足の草鞋でやってみて、現場の人が実現に向けた実務までやるのは本当にキツかった。だから、そこは分けたいと思いました。今後は、若い子たちがブランディングチームでは好き勝手言ってもらって、ミーティングでこれやりたいって決まったからあとは渡辺さんが上と話しつけてよ、という関係性にしたいですね。

加藤

ブランディングチームはうまくデザインマネジメント部を使えってことですね。

渡辺

ブランディングだけじゃなくて、各部署やスタッフ一人一人のお手伝いさんみたいになれるといいなと。多岐にわたって形にすることをお手伝いしていきたいです。しかもセンス良く(笑)。

サードシーズンで注力したいことは?

渡辺

会社の見せ方に関して幹部会議でも話題になっているので、統一感やベクトル合わせ、メッセージの発信を強化していきたいです。あとはスタッフの意識改革ですね。働いていて楽しい会社になりたいし、スタッフが会社のことを好きじゃないとブランディングをやる意味がないので。そうすることで離職率や採用にも変化が起きると思っています。

加藤

サードシーズンでアウトプットしたいことはありますか?

渡辺

会長が社長の時代から健康経営に取り組んでいて、うちには30年も前からトレーニングジムがあるんです。そこの改修が目玉ですね。お客さまがいらした時に映える空間にしたいなと。ジムがかっこよくなることで健康経営、福利厚生、採用など発信できることはたくさんあると思っています。

△当時にしては珍しい本格的なジムが併設された本社ビル

加藤

いつオープン予定ですか?

渡辺

2020年7月に。夏オープン予定です。(新型コロナウィルス感染により計画延期中)

加藤

自社の取り組みを今のうちから発信して、想いを伝える練習にもなるので、ブランディングに興味がある方はどんどん古郡さんに連れてきますね。会社見学も益々増やしていきたいですね。今後の展開が楽しみです!

△コロナ禍はIT化のチャンス。オンラインミーティングも活用して月1ミーティングは続行中。

ブランディング導入を決めた社長のインタビューをvol.1で公開中。

インタビューvol.1はこちらから

インタビュー:2019年

インタビュアー 加藤瑞紀

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