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コラム

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DEO NOTE(社長ブログ)

DEO NOTE|インハウスデザイナーの苦悩

社長業52日目。

中小企業のインハウスデザイナー。今日はそれについて書こうと思う。デザイナー。字ズラと見た目のキラキラばかりが目につくが、実際はそんなにキラキラもしていないし、楽でもない。いつも遊んでいるように見えるが、意外と地味なもんである。考えている時間がほとんどで、アウトプットに費やす時間は案外短い。

デザイナーの中でも企業内でその企業のために活動するデザイナーのことをインハウスデザイナー、社内デザイナーというのだが(資生堂のインハウスデザイナーとかは有名)、インハウスデザイナーというのは思った以上に辛いものである。中小企業でインハウスデザイナーとして13年勤め上げた友人もストレスと過労で奇病にかかり、死にかけた。過労というかストレスの方が大きいかもしれない。考えることが多く、負荷も大きく、やることも多い故に獲得するスキルはかなり大きく、結果私はインハウスデザイナーを経験してよかったな、と思う。

中小企業のインハウスデザイナーが辛い理由は私なりに2つ。「社内との戦い」と「効果測定の困難さ」 である。

「社内との戦い」
戦いというと敵味方となって物騒なので、社内調整、という方がいいかもしれない。そもそも論で。商品を開発するような業界ならば社内デザイナーがいて当然かもしれないが、私が前職でいたのは建設業だった。私は空間デザイン(設計やインテリアコーディネーター)ではなく、チラシなどの広告を作るデザイナーとして入社した。社内にその手のデザイナーを抱えずに広告代理店に丸っと外注するのが主流の業界である。多くの場合、経営者の意向で社内にデザイナーを抱える。そして、どの会社でもあるであろう「社長vsそれ以外」という構図。デザイナーが社内にいることを重宝すると感じてくれる人もいれば、また社長が変なのを入社させて、とか、デザイナーゆえのキラキラ感(冒頭にも書いたが大してキラキラしていない)が故にチャラチャラしやがって。と、やっかみの対象になることもしばしば。お客さまのため、会社のためにと最大効果を出そうとクリエイティブをしていくことがインハウスデザイナーの仕事だが、外に目を向ける前に、社内の説得や、やっかみを気にせずに頑張るメンタルが求められる。良くしようと思って仕事をしているつもりが、社内では逆に作用する…ああ。全くもって不条理である。

「効果測定の困難さ」
社内調整の難しさの理由がここにある。インハウスデザイナーが辛いのは実績が数値化できないこと。例えば営業ならば幾ら売りました、など数値による評価が可能だが(もちろん数値だけで評価されるのも良し悪しである)、デザインというのはそうはいかない。味や、色と同じで好き嫌いがあるのだ。主観によって評価が分かれる。つまりインハウスデザイナーの存在意義を動かぬ証拠として証明できるものがないのだ。(唯一出せるとしたら、これを外注したら幾らかかるがスタッフがやれば給与分で済むよ、くらいか)チラシを作ったところで、それが売れるか売れないかははっきり言って別問題だ。大手並みにマーケ部門があったり、KPI管理を徹底してPDCAを回してくれるマネージャーでもいるなら話は別だがそんな中小企業はまぁないと思う。売れない理由、売れた理由をそもそもジャッジできない状況で日々は進むのである。

チラシが良かったのか、集まった客層が良かったのか、営業トークが良かったのか、フォローが優れていたのか。うまくいけばよかったよかった、とわざわざ分析しようと思わない。逆もまた然り。売れなかった時は犯人探しになりがちである。デザインは要素の一部であり、人・部署・タイミング・コンセプトなど要素が複雑に絡んでいるので、分析を専門にする人がいないとはっきりいって原因を突き止めることは不可能に近く、仮説を立てることも正直難しい。

コンサルタントもデザイナーも社外の人と組むと第三者の目線で進めてくれるのでありがたいが、社内にいるとそうもいかず色々な事情が見えてくる。えいや!でやればできなくもないが毎日顔を合わせるメンバーにはできるだけ不快な思いをしないでもらいたいし。悩ましいのである、社内にいると。そんな辛い戦いを51日前に一旦終えた私は、関係者をうまく巻き込む調整力と根回しを覚えた。根回しは気遣いだと思う。その一言。この一枚の資料を見せれば丸くおさまったり、スムーズに進むことがたくさんあることを学んだ。そしてそれには順番やタイミングも非常に重要。丁寧に丁寧に。まめに。これからも忘れずにしたい姿勢だ。

ジュークアンリミテッド株式会社
代表取締役社長/DEO 加藤瑞紀

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