顧客には言葉にできない要望がある。例えば「個性的な家がいいんだよね。例えばログハウスみたいな。」こう言われたら、皆さんはまずログハウスの事例を調べますか?谷尻さんは「個性的」の方に注目します。相手は素人。ログハウスの他に個性的な家の引き出しがないので、ログハウスと表現したまで。他とは違うデザインを見せて、こんなのはどう?こっちは?と導いてあげた。これが1棟目だったそうです。
相手は素人だからプロに依頼します。受ける我々はプロです。相手は分からないから私たちに頼んでいる、ということを決して忘れてはいけません。数少ない言葉の一端から世界を広げてあげることがプロの仕事です。ジュークではどうでしょうか。トップファクトリーは初めての工場建設をする方に寄り添います。ブランディングだって初めての経営者ばかり。「初めてをどう導けるか」=私たちの力量です。
いきなり完璧な人はいません。私も前職時代のコンサルを振り返るとかなり荒削り。言い方がきつかったな、とか、無理やりこっちのレールに乗せようとしていたな、と反省することが多々あります。その時の私の気持ちは「こっちの方がいいに決まってるんだから!なんで分かんないの?」とイラだつ気持ちが前面に出ていました。特に社内ブランディングはパワースタイルで押し切ったこともしばしば。結果、ほぼケンカ。その一件以来、なんだか疎遠になってしまった同僚もいます。これは今思うと本当に反省。幼さと未熟さ故のことなので、もし会うことがあったら一言謝りたいな、と思います。
失敗と反省の積み重ねで洗練されていきます。こればっかりは当人にしか分からない感覚です。今言えることは、葛藤しながらもやってみる。一定期間経って振り返った時に気がつくことがあるはずです。