ブランディングストーリー|ユタカ電業【社長編】
ユタカ電業株式会社|山口県下関市
代表取締役 鈴木 直美
内容:コーポレートブランディング・関東支社改修
ブランディング期間:2021年5月〜
コーポレートブランディングに取り組むきっかけ
ユタカ電業に入社した頃、日本がデフレに突入し、価格競争でどんどん値段が下がっていく中で「ブランド化を進めるべきだ」と先代に提言したことがあります。もう20年以上前のことです。なぜそう思ったかというと、ハイブランドと言われた製品はデフレの中にあっても金額が下がらず、むしろ値上げする強気の戦略をとっていたのを見たからです。「この会社の製品なら大丈夫だろう」と思える圧倒的な信頼感がある。それを作り上げることで、金額交渉でも優位に立てるのではないかと思いました。でも当時の私にはどう取り組んでいけばよいか、その方法すらわかりませんでした。
月日は流れ、たまたま、あるセミナーで小田島組様のパンフレットを拝見しました。コーポレートカラーである緑が目に飛び込んできました。全体的に統一感があり、無駄がない分、会社のメッセージがストレートに伝わってくる。そんな感覚がありました。
これだ!私が求めていたものがここにある!そう思いました。
それが当社もブランディングを始めよう、と思ったきっかけです。
社員・会社に起きた変化
最初は、私自身もうまく説明できませんし、社員達からすると、今度は何をさせられるんだろう?ブランディング?何それ?そんなスタートだったと思います。会社の歴史を学び、どんな働き方か?どんな社員がいるか?仕事への思いは?そんなことを一つ一つ掘り下げていく中から、スローガンやコーポレートカラーが決まっていきました。チームの中では少しずつ理解ができても、ブランディングはお金を生み出さない。本業とかけ離れているため、担当社員達はブランディングに時間を割くことに引け目を感じていたのではないかと思います。発信することも遠慮がちでした。
△月に1度のブランディングミーティング。「自社らしさ」に自分たちの力で辿り着くことを目的としたワークショップ形式で開催。
私の反省点としては、ブランディングは会社の未来のための重要な仕事だということを、全社員に認識させていなかったので、特に若い社員達にとっては本来の仕事との優先順位がわからず、部内の先輩上司との間で、心を痛めたのではないかと思います。
ブランディングを進めていく中で、鉄道技術展に出展するというイベントがありました。これは初めてブランディングが形として見えたので、社全体に浸透したと思います。社員達が技術展を通して成長してくれましたし、ブランディングは楽しいし、他社と差別化するためにも必要なことだと認識してくれたと思います。
やはりブランディングを通して、形あるものができると効果が目に見える分、わかりやすいですね。支社研修室のリフォームや、そのお披露会で迷いがなくなった気がします。また、若い社員達が先輩社員に会社の歴史を聞き、会社のことをより深めてくれたと思います。
△初参加で大成功を収めた鉄道技術展。鈴木社長も3日間ブースに立ち自ら営業活動に。ブースデザイン、ノベルティ、ユニフォームデザインから出展ノウハウまでジュークアンリミテッドでトータルディレクション。
関東支社改修(SAKURA STATION TOKYO)をやってみて社員、お客様の反応は?
△創業者(鈴木社長父)とコーポレートカラーを大胆に使った関東支社1F。2022年3月、駐車場を多目的空間にリノベーション工事。
これは本当に良いタイミングだったと思います。コーポレートカラーが浸透しましたし、今までのブランディングチームの活動してきたことを社員全員の前で発信することで、皆がその頑張りを認めたと思います。今年の入社式には、先代の時代から頑張ってくれている古参社員が、ピンクのネクタイを付けてきてくれたことは、嬉しかったですね。ちゃんと伝わっているなと感じました。
意外だったのは、外部の方から、Instagram見た!先代の懐かしい顔が見れて涙が出た!といったお声をたくさんいただきました。学生さんからもお洒落な空間だと好感度がアップしています。今はまだコロナで、なかなかお客さまをお招きすることはできていませんが、いずれは、イベントをしたりお客様をお招きしたり、人が集まる仕組みを作りたいと思っています。父が独りぼっちになったら寂しがりますから…(笑)。
父を知らない社員達が、この部屋に父をペイントすることを望んでくれました。これは嬉しかったですね。ある歴史のあるお客様の会社へ行ったとき、庭に創業者の銅像がおかれていました。周りに雑草が生い茂っていて誰も見ない。とても寂しそうに感じました。
△2022年3月19日、ブランディングチーム主導で社内お披露目会を実施。ドレスコートはコーポレートカラーにちなみ、サムシングピンク。
ブランディングチームに今後期待すること
各部で困ったことがあれば、まずブランディングチームに相談しよう!そんな頼れる存在となってほしいです。そのためにも、どんな仕事にも顔を突っ込むことが出来、嫌な顔をせず受け入れるだけの人間力が必要です。
また、ブランディングは、社内、社外問わず、発信力が必要です。会社の歴史や、今後の取り組み、なぜそうなったのかを私と共有しながら発信していってもらいたいです。いわば会社の顔ですから、人間として成長してもらうためにも色々な体験をさせたいと思っています。
若いブランディングチームが、今の我が社を「TRY&FLY」~挑戦し高みを目指す~という言葉にまとめてくれました。挑戦にはたくさんの失敗がつきものです。時には疲れ、時には傷つき、くじけそうになることもあると思います。そんな時は是非「SAKURA STATION TOKYO」の壁にペイントされている父に話しかけてもらいたいと思います。きっと「ぼちぼちいこうや」という言葉が返ってくると思います。
△和気藹々としたブランディングチーム。社長と一丸となり様々な課題に挑戦中。
△TRY&FLYにちなんで、お披露目会では各人の挑戦したいことを宣言するイベントも。
社長と二人三脚でブランディングに取り組むブランドリーダーにも聞いてみました。(2022年インタビュー)
インタビュー:2022年 インタビュアー:加藤瑞紀