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19MAGAZINE#2023.3

新サービス「見積Dr.」展示会でお披露目

 昨年末からテストマーケティングしていたジュークの新ブランド「見積Dr.」。見積Dr.はお施主様と建設会社の間に入り、工場や事務所建設のコストダウンをお手伝いするサービスです。2/7〜9に東京ビッグサイトで開催された経営者向け展示会「経営支援EXPO」に出展し、全国デビューを果たしました。

見積Dr.が生まれた背景
 ジュークでは工場建設ブランド「トップファクトリー」を運営しており、よく聞かれるのは『いくらで建てられますか?』という建設費のこと。建設プロジェクトが進んでいる場合は「この見積りは高い?安い?いくらが妥当ですか?」というご相談を受けることもあります。つまり、お施主様は“お金”に関する疑問・不安が常にある状態ということ。しかし、建築工事費というのは建物の大きさだけでなく、エリア、用途、土地の条件や状態、設備の種類、時期、建設会社の性質や状況、時代、経済状況などの多くのことが複雑に絡み合って決まるもの。プロジェクトの概要、背景を熟知し、分析できていないと金額の話はできません
 私たちはコストダウンに成功した建設事例があります。構造を見直して-2億円に成功した倉庫。地元でお付き合いのある建設会社に指定した結果予算オーバーで、しがらみを捨て他の会社にも依頼したところ-3千万円のコストダウンに成功した倉庫。これらは私たちが建設会社出身であり、設計事務所でもあるからこそ見出せたコストダウン打開策です。見積Dr.ではコストダウン策を見つけ出し、建設会社との間で価格調整を行います。

(多くの方に足を運んで頂きました

展示会で反応を体感する
 展示会の良いところは、生の市場の反応を感じられることです。全国から人が集まる展示会ではサービスを知らない人にアプローチができ、営業獲得のみならず多くの意見を聞くことができます。反響から得られる改善点も数多くあります。サービスブランドは作り込みに時間を割くのではなく、7割の完成度で市場にぶつけ、チューンナップしていくのがおすすめです。システムやソフトウェア開発では一般的な「アジャイル(素早い)開発」をサービスブランドにも採用していきましょう。

予想ターゲットと異なる反響
 見積Dr.は経営者向けのサービス。そこでお披露目の展示会に選んだのは経営者が集まる「経営支援EXPO」。ターゲットの経営者が足を運んでくれた一方で、大企業の施設管理者もブースに足を止めてくれました。展示会に出たからこその意外な反響や新しい発見がありました。

(一際目をひくアイコンはスタッフ李本人)

研修効果も高い展示会出展  
 展示会出展は営業目的だけでなく関わるスタッフが大きく成長するチャンスでもあります。運営側とのやり取り、社内情報共有、ブースデザイン、販促グッズ、お金の管理、営業など日常業務では味わえないポイントがいくつもあります。今回の展示会は1年生の日山さんが責任者として企画を取り仕切りました。ブース案を3Dにして社内会議で発表し、皆に意見を求めるなど設計士ならではアプローチも!3日間ブースに立ち展示会デビューは疲労感もあったようですが、同時に達成感もあったようです。またひとつ成長し、頼もしくなりました。次回は6月に展示会出展を予定しています。今後の見積Dr.の展開をお楽しみに!

(ブランディング仲間も続々ブース訪問)

実録!インハウスデザイン部門の評価の仕方

スキルマップで業務を分解

 3人体制になった頃、部下の指導と評価に役立ったのは全社的に取り組んでいた「スキルマップ」でした。会社にある職種全てで「何年で一人前か?一年間でここまでできるようになりましょう。そのために必要な教材はこれ。」といった具合にスキル分解と成長目標を見える化したものです。少人数でやるならずっとOJTでいいのですが、200人を超える組織にいたので会社には「評価基準」がありました。なんとなく頑張ったね、では評価しきれませんし役員が理解できません。部署以外の人にも業務・成長が分かるようにする必要がありました。

 活用しきれていない部署もあったようですが、私の部署ではこのスキルマップをフル活用。業務が多岐に渡るので大項目は「社会性(これはどの部署でも共有)・デザイン・ブランディング・広報・マーケティング」の5つ。デザインだと初年度は「チラシをイラストレーターで模写できるようになる」とか、住宅やリノベーションの見学会販促が多いため「地図を作ることができる」などパーツの制作ができるようになること、など。それを半期に一回自己採点してもらい、そのあと私が採点しフィードバック。そうすることでデザインという一見目に見えないスキルを分解し、課題と目標を共有していきました。

 これはすでに入社後のメンバーにも適応され、年数を経るごとに企画の責任者やマーケティング施策、広告費の責任を持つなどレベルアップしていきます。社歴が長くなっていくと教材はビジネス本や経営者向けセミナーなど。デザインに限らず広く高い視座が求められます。私が入社からデザイン室長に至るまでの10年をギュッと凝縮し、半分くらいの5〜6年程度で私と同等の人を育成できる方法を見える化したものです。我ながら結構貴重なノウハウなんじゃないかと思っています。

 スキルマップ作りは大変ではありましたが、初めて後輩を持ったあの時と同じで「自分の仕事を整理する」のに非常に役立ちました。今、ジュークアンリミテッドとして他企業からインハウスデザイナー最初の1人をお預かりして育成してあげられるのはこの経験があるからです。



賞に挑戦して第三者評価をゲット

 1人から4人体制までなったコーポレートプランニング室。多岐に渡り4人で活動した結果、手がけたブランドがヒットしたり、新しい建設業として視察が増えたり、採用も順調で対外的評価は上がりました。が、社内から「あの部署何やってるの?」という声も出ていました。社内報や全社員会で活動報告をしていましたが本社と現場、支店の物理的距離は心的距離でもあります。なかなか存在意義が伝わっていないことも薄々気が付いていました。

 そこで「わかりやすい何か」が欲しい。そう思ったのと、今のデザインの実力がどんなものか?を知りたく、グッドデザイン賞に応募することにしました。2017年に脱3Kの工場建設ブランドで受賞でき、地方の建設会社で生まれたインハウスデザイン部署でも実力があることが証明できました。色々やっていますがデザインを内製化しよう、というのがコーポレートプランニング室のそもそもの始まり。なのでデザインで評価されることで社内にも「あの人たちはデザインをしているんだ」と理解してもらえました。

 賞に挑戦することはデザイン、ブランディングの力試しにおすすめです。企画書を書く過程で足りないこと、詰めの甘さを思い知らされるので少々しんどいですが、書き切った時の達成感=きちんとした企画として成立した証。健康経営、女性活躍など働き方に関する制度も各自治体であるのでそれもおすすめです。インハウスデザイナーならデザインオンリーではなく、デザインを説明する文章力も必要。企画書を書けるようになることは自身の企画・デザインを説明することに通ずるのでぜひトライしてみてください。

 2023年の今でもインハウスデザイナー育成ツールとして推奨していますが「社内報」を月一で発行したのはこの頃。建設会社は本社・支店・現場と案外散り散りです。ブランド、拠点、そして採用活動も順調で人がどんどん増えたこともあり社内報はマストに。作りながら会社のことを知れるし、ネタ集めを口実に色々な部署、支店の人とコミュニケーションも取れます。もちろん経営者とも話をするので自然と会社の方針、未来についても理解が深まります。

社内報をインハウスデザイナーが作ることは、
①毎月発行でタイムコントロール
②デザインスキルアップ
③語彙力アップ
④写真力アップ
⑤会社を深く知る
⑥発行物として形になり使われることで承認欲求も満たされモチベーションアップ

と、今書いただけでも一石六鳥。社内コミュニケーションのみならず、デザイン性があることで営業、採用と広いシーンで「社外報」としても活用でき、いいことしかありません。実際3人目の新人インハウスデザイナーは新人編集長として取材、デザイン、コピーライト、写真撮影とオールマイティで鍛えられ、デザイナーとしても広報としても活躍しました。



 翌年には高校からグラフィックデザインを専攻し、大学では美術系出身の新入社員が配属。これで4人体制に。イラストレーターのスキルはむしろ我々3人より高く教えることはないので、教えるべきは会社のこと、社会のこと。社内報編集長をバトンタッチし同じようにOJTをしました。ブランディングは社内だけでは教えきれないので、全国のブランディング仲間と会ったり、イベントに参加したりと「交流と見比べ」から学んでもらいました。ブランディングは会社としては新しい取り組み。蓄積がまだないので、インプットは外に求めるのが当然です。企業でブランディングに取り組んでいる諸先輩達から教わるのが一番。今でもブランディング企業同士をお繋げしているのはこの経験からです。

 ただし、ただたくさん見て経験すればいいか、というとそれも違います。「うちってこんな会社、こんなことを大事にしている」と自社のことを知らないと社風に合わないことや根付かないことに一生懸命になってしまいます。無理無駄を省くためにも、社内報でまずは会社のことを理解して、インプットも増やす。インハウスデザイナーなりたてはこれがおすすめです。

10ヶ月の工期を経て新工場完成
 2022年7月に着工し、今月いよいよ新工場が完成します。工場見学者が多いシンコーメタリコン様にふさわしい仕上がりでトップファクトリーが提案する“魅せる工場”になります。

イエロー×ブラックの配色
 シンコーメタリコン株式会社の立石社長様は芸術系の大学をご卒業されており、新工場のデザインや配色にこだわりを持たれていました。企画当初はフランス特有の配色を用いて欲しい、とのご要望でフランス絵画やお菓子のマカロンのような柔らかな配色を検討しました。何度もデザイン案を作成し、ご提案してみるも…“らしさ”が見えてこず。そこで、工場の特性や機能に立ち返り、これまでとは真逆の明度の差が激しい2色パターンをいくつか提案しました。その中で、工場=安全第一が伝わり、工場のインダストリアルなかっこよさも表現できるイエロー&ブラックの配色に決定しました。(トップファクトリーのブランドカラーと同じ!大変恐縮です。)

サインデザインのこだわり
 今回、特に力を入れたのは工場内のサインです。グラフィックデザイナー森居が担当し、設計士とタッグを組んで図面やパースにサインを落とし込み提案。お客様の心を掴むことができました。工場内の各部屋名のサインを壁全面に映し出したデザインウォールになっているので、ぜひご注目ください!

特大ロゴのフォトスポット
 工場見学に来られたお客様が記念写真を撮れる場所として、工場正面の外壁に社名ロゴマークを大きくあしらいました。その大きさはなんと6m ×5mの巨大サイズ!大勢での撮影も収まるサイズ感になっています。工場見学に行かれた際はぜひここで写真撮影してみてください。

【NEWS】ジュークの最新ニュース

スタッフ青木登壇@宮古セミナー
 3/4に宮古に生きる”20代のための”つながるイベント「Meet up!Miyako」にて『20代何を考えて生きてきたか』『最年少一級建築士を取得した背景にはどんな想いがあったのか』などお話しさせて頂きました。

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たかしん興業様@花巻 企業視察で来社
 3/1に岩手県花巻市の建設業たかしん興業様からICT推進室の2名が企業視察にいらっしゃいました。代表加藤より、経営者と2人3脚で思いを見える化するコツなどをアドバイスさせて頂きました。

news3

協和化工様 工場建替プロジェクト始動
 排気処理装置を製造する協和化工様@東京の埼玉工場建替プロジェクトが本格始動。操業しながら建替を行う3年に渡る大型プロジェクトです。今後社内報のON-GOINGコーナーでもご紹介するのでお楽しみに!

【INFORMATION】

●5/10 シンコーメタリコン様新工場オープニングイベント@滋賀
●6/2.3 ベンチマーク視察団@埼玉・深谷
●6/21-23 日本ものづくりワールド出展@東京ビックサイト
●今春 トップファクトリーサイトリニューアルのでお楽しみに!

 今回紹介する建物は岩手県下閉伊郡田野畑村にある「道の駅たのはた」。2021年3月に竣工した建物で、三陸沿岸道路の田野畑中央ICから降りてすぐの場所にあります。周囲の山の斜面を彷彿とさせるような大屋根デザインで、そのダイナミックさが自然豊かな岩手の広大さを表現しているように感じました。

(自然豊かな田野畑村の山の斜面を連想する大屋根)

 一番インパクトがあったのは木の架構です。構造体がそのままデザインになっており、小手先では表現できない構造設計ならではのデザイン力を感じました。天井が高いことに加え、南向きにハイサイドライト窓を横一列に流すことで、透明な壁面ガラスから見える景色だけでなく天井からも青空が見えます。高地ならではの解放感がありました。

(デザイン性のある木の架構)

 一方で、東西面に面する大開口部の外壁材には乳白色のポリカーボネート板を採用していました。ポリカーボネート板は軽く、強度があるのが特徴です。内部構成に空気層があるため断熱性能も高く、乳白色にすることで西日などの強い光を拡散して柔らかい光に変えて内部に取り入れることができます。様々な機能を兼ね備えている外壁でした。

(機能性が高い外壁材)

 寒冷地である岩手ならではの材の選定がされており、意匠性だけでなく機能性も意識して設計された名建築でした。

旅のおしえ
〜もうひとつの名建築〜
 すぐ近くに今は使用されていない学生寮があります。海外の近代モダニズム建築を彷彿させる立体造形で、その神秘さと廃墟の雰囲気が異様な空気感を作り上げていました。

今月は『アンティークガラス瓶』

ガラスの厚みや色合い、ゆらぎ、ちいさな気泡など古いガラスの質感の美しさは唯一無二。日頃から探しておくと便利です。

 春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」国民の祝日。自然のあらゆる生命が若々しく盛り上がる時をいつくしむ日とは粋な計らいです。今月は大地のエネルギーを少しだけお裾分けしてもらい、春の芽吹きを楽しむインテリアのご紹介です。ガラスのゆらめきや質感が美しいアンティークの瓶はラフに飾れてとても便利。口が広い大きなガラス瓶は大ぶりな枝をスタイリッシュに飾る時に重宝します。背丈がある枝は瓶のサイズ以上に長さを残すと躍動感あふれる雰囲気に。ラベルがアクセントの薬瓶は口が狭いので、華奢な枝や切花の1輪を飾る時に気軽に楽しめます。花瓶を選ぶのに迷ってしまう方にはとくにおすすめ。桜の蕾が段々と膨らむ様子を日々眺めるのも切り枝の楽しみのひとつです。

Vol.15 建築資材が高騰している理由3・4

3.円安による輸入価格上昇
 2022年9月7日に1ドル=144.5円を記録しました。これは1998年8月以来約24年ぶりの円安水準です。日本は建築資材の原材料の多くを海外輸入に頼っています。そのため、原材料の価格が変わらなくても、円安が進むとその分輸入価格が上昇してしまいます。

4.ロシア・ウクライナ情勢の燃料高騰
 ロシアは世界全体で見ても、天然ガスや石油といったエネルギー資源の産出量が多い資源大国です。経済制裁の影響でエネルギー資源が値上がりし、各方面へ大きな影響が続いています。燃料が高騰すると輸送費が上がるため、ほぼすべての建築資材に影響が出てしまいます。

 今回は観光地の神奈川県鎌倉市にある長谷寺の公衆トイレをご紹介します。
 鎌倉の観光名所の1つということもあり、外観デザインは落ち着きのある木目調の素材とコンクリートでまとめられています。

(ルーバーがある通路)

 通路に取り付けられたルーバーの隙間からは人の存在が感じられ、閉鎖的になりすぎない動線を作り出していました。訪れた時間帯は夕方だったのですが、ルーバーの隙間から夕陽が差し込み、木目調の壁面に映し出されていた光景がとても綺麗でした。

(トイレ天井の開口部)

 トイレ内は天井に取り付けられた開口部によって自然光を取り入れていたので明るく開放感がありました。屋外の公衆トイレは閉鎖的で暗く、ジメジメとした雰囲気で、使いづらいというイメージを持たれがちです。利用者の多い観光地のトイレはこのように外とのつながりがあり、抜け感があると安心で利用しやすいと感じました。


 照明は間接照明にし、ロッカーは壁面に合わせてフラットに収め、建物全体と凹凸が出ないように設計されていました。建物がスッキリと見え、無駄な凹凸がない分、衛生的にも管理がしやすいのではないかと思います。収まりが綺麗だと少し錆びているロッカーも良い味になるなと感じました。

<長谷寺>
長谷寺の眺望散策路には2,500株を超える色とりどりの紫陽花が植えられています。あじさい路上段からは、由比ヶ浜の海と紫陽花をツーショットで眺めることもできます。
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〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷3丁目11-2
営業時間/8:00〜17:00

▶︎トイレ研究家・日山のInstagramはこちら! 

●3歳10ヶ月…ダンスと音楽を愛してやまない

ホットヨガ(高温多湿に保たれた空間で行うヨガ)

 ホットヨガにハマる理由のひとつは大量の発汗!「こりゃなんの修行だ?」とへこたれそうになりながらも、滝のように流れる汗が充足感と爽快感でいっぱいになります。
 血流が全身をめぐり、心も整うホットヨガおすすめです!

おすすめした人:柿澤 志保

\一緒の本を読む&映画を見て気持ちを揃える/

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ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー、ブレイデン・コウィッツ(著)
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