DEO NOTE|暗闇体験はマインドデザインだ
3/4,5と全員研修を行いました。今回の研修の目玉は、私がここ最近で衝撃を受けたダイアログ・イン・ザ・ダークさんの暗闇を体験するワークショップにみんなで参加することです。ことの発端は、私が一足先にこの暗闇体験をして衝撃を受けたから。いつもお世話になっているスターブランドさんからの昨年12月のお誘い。分科会に分かれての活動の一貫だったようで、東京にいる頻度が高い人、ということで分科会には参加してなかったのですが空いた1枠にお声がけ頂きました。
▲社員研修で再びダイアログミュージアムを訪れる
結局言葉で表現できないから体験してみて
何年も前から気になったいた割にタイミングがなかった私に、ついに体験するチャンス到来!ワクワクしながらサイトを隅々見るものの、結局「暗闇で何かする」以外にどんなワークショップなのか分からないまま当日を迎え、竹芝の会場に到着。ダークという割には明るく広々としたカラフルなロビーでメンバーの到着を待ちます。
▲暗闇の印象とは真逆な明るいロビー
自己紹介も終わり、いよいよプログラムスタート。暗闇をアテンドしてくれるのは盲目のたえさん。白杖を一人一本持ち、暗闇に突入します。明るい場所から暗く閉鎖的な世界へ、自らの意思と足で踏み出さなければいけない感じ。お化け屋敷に入るあの感覚に似ています。
アシスタントの方が扉を締めると漆黒の闇。さっきまでそこに見えていたメンバーとの距離感が途端になくなります。私は宇宙のような無限の空間を感じましたが、狭小感を感じたメンバーもいたようです。この時点で既に感じ方が人それぞれ。
暗闇の中を90分間、たえさんアテンドのもと数々のミッションをこなしていきます。回によって若干ミッションが違うのと、まだ体験していない人に先入観なく体験して欲しいので暗闇での詳細はここでは控えます。やらないと絶対に分からない。点の光すらもない世界では人の目は一向に見えないままです。
自己発信が大事
いかに視覚に頼っているか
チームへの感謝と自己開示
こう感想を書いてしまうと途端にチープになってしまいます。このプログラムは言葉では伝えきれないので気になる方は行ってください。
▲初めて持った白状 すごく軽い
新たな感情と浄化タイムで涙腺崩壊
なんてことを感じながら、90分間の闇から解放。光が見えた瞬間の安心感たるや半端ない。私がこんなに感情を揺さぶられた90分。しかし、一方でたえさんにとってこの90分はいつもと変わらない日常であり、アテンドという仕事をしていた訳です。違いを感じていたのは私たちだけ。そう考えると、安堵とも違う、感嘆とも違う、慈しみとも違う、哀れみでは絶対ない、なんとも表現しがたい新しい複雑な感情が芽生えました。これはなんだろう?皆の暗闇感想を聞きながらも、結局のことろ今でもあの感情に名前がありません。何回か体験すれば分かるだろうか…。
▲たえさん(盲目)による弾き語りタイム
▲聞こえない方はピアノに触れて音を感じるそう
そしてたえさんはエンターテイナーなので、ピアノの弾き語りができます。クリスマスという特別な期間と、ちょうど「聞こえない」を体験するサイレンスの方達もロビーで合流したため、急遽たえさんによるクリスマスソングの弾き語りがスタート。たえさんのピアノと歌。手話ができる方による歌詞の手話。フラが踊れる方もいたのでダンスしながら手話を解説。そして耳が聞こえない方はグランドピアノに触って振動から音を感じていました。きっと3分にも満たない時間でしたがとても平和で幸せな時間でした。身も心も浄化された感覚。ちょっとカッコつけて平静を装ってましたが、実はそのキラキラした時間に涙腺が崩壊しそうでした。
オリンピックを見ていても思いますが、心が動いて泣けることは幸せなこと。(直近で泣いたのはショーン・ホワイトのラストラン。大学生の時京都から夜行バスで友達とTOYOTAビッグエアーを東京ドームに見にいき、まだ幼いショーンが大活躍している時から追ってます。あの時小さくてかわいかった。)マインドセットを変える。日々の生活では簡単ではありません。泣けるほどガツン!と衝撃的な経験があってこそマインドはリ・デザインされます。ぜひ、ガツン!と体験したい方はダイアログ・イン・ザ・ダークまで。
目に見えるものだけが真実か?
最後に、仕事に関わる話も書いておかないと。数々のミッションの1つ、飲食を体験するミッションにて。
カフェやレストランの内装、什器、メニュー、店員さんの服装、食器、食材の色、盛り付け。これらにいかに多くの情報が含まれているかを体感。暗闇では「味・温度・食器の手触りと口当たり」オンリー。(飲み物だったので硬さとかは今回はなし)
デザイン・設計を生業とする当社にとって「デザインとは何だ?」を深く考えさせられました。私の好きなドラマ コンフィデンスマンのオープニングでダー子が発する言葉「目に見えるものだけが真実か?」を痛感。ユニバーサルデザインについて俄然興味が湧きました。デザインは当社にとって仕事であり、クライアントにとっては事業なので、いいものは誰だって作りたいがコストとの戦いは常について回ります。しかし、コストダウンの手段として真っ先に質感をチープなものに変えることはしたくないな、と思いました。
びっくりしたのは「目が見えなくてもハーゲンダッツのアイスは触れば分かるよ」とたえさんが言ったこと。プロダクトデザインの奥深さを知りました…ハーゲンダッツ恐るべし。