先月紹介したアアルトと同時期にドイツで建築家として名をはせたグロピウス。当時は大量生産の工業製品に芸術的価値やセンスが必要という認識はなく、形と機能の調和はほとんどなかった時代でした。 Form Follows Function(形態は機能に従う)という信念を根底に、手仕事産業の技術と芸術を融合させ、質の高い製品を大量生産すること。そうすれば芸術は万人のものとなり生活が豊かになる、という考えからできた教育機関がバウハウスです。そして、グロピウスは「統合したすべての産業は芸術の総合作品―建築―へと通ずる」という教育理念を持っていました。 左の写真は初代校長となったグロピウスの校長室です。壁、机、どれを見てもシンプルで無駄が一切ありません。機能を持たない装飾という、無駄な要素をそぎ落としてデザインの本質を追い求めたからこそ、現代のモダン建築の礎となる名建築となりえたのだと思います。建物の枠を超え、時代を変える教育のあり方まで体現したグロピウスの偉大さを感じました。
Walter Gropius|1883-1969 近代建築の四大巨匠の一人。建築のみならず大学での教鞭など、近代建築の理念と方法を現実の作品だけでなく言葉で表現した人物。。